GALA 2023 Dublin
ビジネスの言語 – 言語のビジネス
GALA(Globalization and Localization Association)が主催するカンファレンス、GALA 2023 Dublinが3月12日~15日に開催され、GALAのイベントへ初めて参加してきました。東京からダブリンまでのフライトは約18時間で、今まで経験したことのない長さでした。大きなスーツケース2個を引っ張り、冷たい風が吹く雨の中、タクシーを待って夜遅くに到着しました。翌朝には雪が降り出し、寒さと湿った気候をさらに際立たせていました。
カンファレンスの前日、GALA主催のウィックロー・ツアーに参加しました。世界中の様々な企業から集まった参加者がバスを埋め尽くし、一緒にアイルランドのこの歴史的な場所を見に出かけました。他のGALAメンバーと打ち解ける絶好の機会でした。1時間ほど走ると、修道院の跡が残るグレンダロッホ(現地アイルランド語表記:Gleann Dá Loch)に到着しました。
数百年から数千年前に作られた石造りの建造物は厳かなものでした。
ひんやりとした爽やかな空気と暖かい太陽を背に、周囲の自然は息を呑むような美しさでした。
森、特に木や石を覆う苔は、日本を思い起こさせました。
巨大な高木や広く茂った苔が景色を包み込んでおり、自然を信仰の対象とするアイルランドと日本古来の宗教的な考えと通じる点があると感じました。
アイルランドの伝統的な昼食であるコンビーフとキャベツ、デザートにアップルパイをいただきました。
次に向かったのは、アイルランドで最も落差のあるパワーズコートの滝です。
ガイドによると、普段は水が見えないそうです。良い時でも、滝の水が静かに流れるのが見えるだけだそうです。多くの観光客は拍子抜けするそうですが、この日はとてもラッキーでした!先日の雪解け水で、滝の水量が最大になったのです。まるでダムが決壊したかのように、滝は神々しいまでの慣性で流れ出し、どんな巨大な構造物も倒すかのようなエネルギーに満ちていました。この壮大な滝に近づくことは不可能でしょう。体中が水しぶきに包まれ、まるでプールに飛び込んだかのようにびしょ濡れになること間違いありません。
旅の締めくくりに、パワーズコートの庭園を訪れました。美しい建築物や花を楽しみながら歴史的な土地を歩いて回りました。
バスがホテルに到着すると、すぐにウェルカムレセプションが始まりました。何百人もの人々が集まり、一斉に話し始めました。知っている人は誰もいないので、初めのうちはかなり緊張し自分の居場所を見つけるのに苦労しましたが、幸運にもとても親切でフレンドリーな多くの人々に出会えました。
翌朝は、カンファレンスのオープニングと基調講演でした。
Learn to Decide and Conquer - 決断と克服を学ぶ:
意思決定とバイアスの除去がプレゼンテーションのテーマでした。David Siegel氏は基調講演で、CEOとしての経験や意思決定について語りました。彼のスピーチからは、多くの知恵を得ることができました。
次のGALA Soapboxでは、プレゼンターが質問、データ、経験を共有し、参加者の好奇心をくすぐり、会場の議論を刺激しました。私も興味をそそられ、QAがいかに主観的になり得るかという自身の経験について、また、イタリアの事例をもとに言語のブランド価値について、他の文化圏では有名ブランドを使って商品ラインナップに付加価値をつけるということを簡単に話しました。
例えば、パルミジャーノ・レッジャーノはイタリアの著作権で保護されていますが、Kraft社などの企業がパルメザンチーズのプロモーションのために使用しています。また、日本から来た私は、神戸牛(Kobe beef)も同じように世界中の企業やレストランが、自社の製品を同じ高品質な牛肉として宣伝するために使用していることを紹介しました。
Soapboxのセッションは考えさせられることが多く、私たちを取り巻く世界についてもっと知りたいと思わせてくれました。
その日のGALAディナーでは、アクティビティ・ステーションが設けられ、様々なアイルランド文化を体験することができました。
食、酒、文化、そしてダンスの一夜は遅くまで続きました。目をつぶって想像してみてください。
2日目もまた、学びと内省の一日でした。多くの同業者と交流しました。異なる文化的背景を持つ者同士がお互いを知り合うことは、心が刺激されました。
最終日には、バラエティに富んだテーマでプレゼンテーションが行われました。
「混雑した市場におけるアイデンティティ、ポジション、および差別化に関する考察」
「SEOローカライゼーションと最下位への競争は無し:コスト/支払い構造に関する対話」
「Swipe Right or Left? 現在の経済がM&Aに与える影響」
Translated社のMarco Trombetti氏による、カンファレンスのクロージングと基調講演が行われました。彼は、人間こそがAIと機械翻訳の進歩の鍵を握っていることを説明しました。どんなに技術が進んでも、根底には人と人とのつながりがあり、それこそが私たちの生きがいであるということです。
講演を聴き、有名な小説家のエピソードを思い出しました。
F. Scott Fitzgerald got down on one knee in a fawning motion and loudly exclaimed, “May I kiss the hand that wrote Ulysses?” Joyce replied, “You may, but you should know that hand has done a lot more than write my novel.”
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F・スコット・フィッツジェラルドが片膝をついて大声で叫んだ。
「ユリシーズを書いた手にキスしてもいいですか?」
ジェイムズ・ジョイスはこう答えた。
「構わないが、この手は小説を書く以上のことをたくさんしたことを知っておくべきです。」
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あることや概念に固執してしまうと他の情報や原点を見失うことがあります。
今回の旅では新しい学びに加え、大事なことを再認識させてくれた絶好の機会になりました。
Céad Míle Fáilte
(アイルランド語:10万のウェルカム)
つながりと学ぶための素晴らしい機会を提供してくれたGALAとそのメンバーに感謝します。
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